2月21日に第27回若山牧水賞を受賞された、歌人の奥田 亡羊氏が本校を訪れ講演をしていただきました。本校1,2年生が国語の授業で詠んだ300を超える短歌から10首選んでいただいて、ひとつひとつ丁寧にその評をいただきました。ステージから降り、生徒と同じ高さで話されて、講演というよりはとても面白い授業だと思いました。31文字に思いや情景を凝縮する短歌。その歌をどう『読み』解くのか、短さ故に受け手側に様々な解釈の幅がある。これを楽しんだ1時間でした。「へー」と思っていた生徒の歌が、奥田先生の『読み』で「ほー」に変わった瞬間が何度もあってとても面白かったと思います。
奥田先生による本校Best10です。
①ひぃばあちゃん私が誰かも分からずにそれでもくれる五百円玉
【1年女子】 500円をいつもくれていた優しさは、誰かがわからなくなても残っているのだと・・・・
②クレームを言われ続けても動じない前だけを見たサムライブルー
【1年男子】アルバイトでクレームを言われたときの経験を侍ブルーに重ねたのでは・・・・
③春風においでおいでと誘われてなんだなんだと花芽吹くなり
【1年女子】風のお誘いに、花が応じているという見立て。「おいでおいで」と「なんだなんだ」が効いている・・
④赤とんぼ近くで見るとややきもいなぜか奴らは集団で来る
【1年男子】美しいものの意外な一面をとらえている。「きもい」を歌に使ってまとまった数少ない作品・・・
⑤紅葉の葉落ちる刹那に沈みゆく意識の落ちる池の底へと
【1年女子】難解だけど、自分を見つめ直しているすがたに共感。落ちて沈んでまた落ちる・・・
➅白い地面月に照らされ独り歩く行く先は家 家族が待ってる
【2年女子】白い地面が意味深。「帰る先」じゃなくて「行く先」なのが、孤独感を強く感じる・・・
⑦街の駅道で寝ころび一休み失うものはもうなにもない
【2年男子】いったい何があったんだろう?と思わせるが、「一休み」にとてもほっこりさせられる・・・
⑧返信はすぐは厳禁二分後に目を閉じて押す送信ボタン
【2年女子】2区切れ。SNSに返信する前に2分間、緊張が継続しているのがとてもうまく伝わってくる・・・
⑨弦の音静かな空気に気を込めて離れて響く的射抜く声
【2年女子】弓道の一場面。弦(つる)から矢へそして的へ空間が移動していく。射貫く音ではなくて「声」としたのも面白い・・・
⑩ステージでライトと歓声浴びながら私はさがすたった1人を
【2年女子】とってもわかりやすくて、共感できる人の多い歌。どこのステージなのか、どういう場面なのかいろいろそうぞうしてしまう・・・
【若山牧水賞】【奥田亡羊氏の受賞ニュース】